第一回【【国立新美術館●静物画の秘密展】】対決!

とに〜が明かす 静物画の秘密  とに〜

六本木の国立新美術館で開催中の"ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展"へ、行ってまいりました。

この美術展のテーマは、ズバリ『静物画』。

静物画とは、例えば、コルネーリス・デ・ヘーム《静物:朝食卓》や、
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エヴァリスト・バスケニス《静物:楽器、地球儀、天球儀》
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のように、自然物(植物や果物などなど)や人工物(楽器や道具などなど)が静止している状態を描いたもの。
‘静’止している‘物’を描くから『静物画』なんですね。


止まっているものを、描く。
技術うんぬんは置いておいて、内容的には誰でも出来そうなこのジャンル。
それだけに、静物画は、これまでの美術展では脇役のような扱いを受けていました。


ところが、今回の美術展では、そんな静物画を主役に大抜擢!
さらには、静物画の秘密にも迫ってしまおうではないかという、何とも画期的な試みまで。
しかも、そんじょそこらの静物画ではなく、ウィーン美術史美術館が誇る一級品の静物画を展示しながら、です。


さてさて、その肝心の静物画の秘密なのですが。
美術展会場に、その“秘密”とやらが置かれているわけでも、
「実は、ここだけの話。静物画の“秘密”ってね...」と、会場で誰かが耳打ちしてくれるわけでもありません。


「静物画をこれだけ並べて、ヒントを出しているのですから、後は各自で考えましょう!」


...といった感じ。
まぁ、ちょっと投げられた感もありますが、考えようによっては、ちょっとした謎解きアドベンチャーとも言えるわけでして。


実際、僕は、ちゃんと静物画の秘密を見つけて来ました。
知りたいという方のために、その秘密を、ここで発表してしまいましょう。
さぁ、ここから先は、ネタバレを含みますよ(?)。


実は、静物画には、3つの‘ため息’が込められていたのです。


1つめの‘ため息’は、「感嘆の‘ため息’」。
それは、静物画というジャンルの特異性に関係があります。
静物画は、他のどのジャンルに比べて、何よりも“リアルさ”が求められるジャンル。
画家の情熱やら、作風の斬新さなんかは、2の次を通り越して、3の次、4の次。
いかに、描かれているものが本物っぽいか。そこに重点が置かれている絵なのです。


その描写がリアルであれば、リアルであるほど、鑑賞者は、


「はぁ〜、本物みたいだぁ( ゚ ρ ゚ )」


と、絵の世界に惹きこまれるわけです。


現代に置き換えるならば、株式会社リーメントのぷちサンプルシリーズ“やっぱりコンビニ(定価250円)”の中の一つ“パパの部下が来ちゃったワ!”のセット(←「パパの部下が来たら、コンビニで済ませるのかよ!」というツッコミは、置いておきまして)や、

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“スイーツ界のピカソ”であるピエール・エルメをリアルに再現したピエール・エルメのファン垂涎の一品である株式会社メガハウスから発売された“ピエール・エルメミニコレクション(定価367円)”より“魅惑のチョコレートセット”

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と、いった食玩を見て、「はぁ〜、本物みたいだぁ( ゚ ρ ゚ )」


と思わず、惹きこまれてしまうようなもの。


いつの時代も、人は、本物よりも本物に限りなく近づけた物の方に、何か特別な魅力を感じるようです。


さて、今、静物画は食玩のようなものという話をしてしまいましたが。
早速、前言撤回です。すいません。
というのも、静物画は、食玩のように大量生産できるものではありません。
一枚一枚、画家が描いているのです。
ですから、食玩というよりは、一つ一つ職人が手作業で作っている食品サンプルに近いのです。

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ちなみに、上の画像は、食品模型 すがもり工房から発売されている“ミートスパゲティー【持上げ編】(皿付)”
職人が手作業で作っているだけあって、食玩よりも、さらにリアルな出来となっております。


で、気になるのが、そのお値段。
この“ミートスパゲティー【持上げ編】(皿付)”、一個、何と5300円!!!
5300円もあれば、本物のミートスパゲティーが5皿は食べられます。
う〜ん、欲しいですが、庶民には手が出せません。


静物画も、また然り。
画家が一枚一枚描いた1点ものの静物画は、当然、お値段が半端じゃないのです。
つまり、静物画は庶民にとっては、夢のまた夢の品。


「はぁ〜、一枚くらい欲しいなぁ(;´ρ`) 」


と、当時の庶民たちは、羨望のまなざしで、静物画を鑑賞していたのです。
これが、2つめの‘ため息’。「羨望の‘ため息’」です。


では、3つめの‘ため息’とは何か?
それは、所有していたセレブ達がついた‘ため息’。


お金にあかせて静物画をコレクションしていた彼ら。
ふと、こんな考えがよぎるのです。


「はぁ〜、何でこんなもの集めているのだろう( ´△`)」


いかにリアルだと雖も、所詮は絵に描いたもの。
1、2回観るくらいならばいいですが、毎日観ていると、ちょっと虚しくなってくる。
彼らは、「空虚の‘ため息’」をついたのです。


では、セレブ達は、静物画をコレクションするのを止めたのか。
というと、そうではありません。
彼らは、画家たちにそんな虚しさを絵にするよう、注文するのです。
虚しいけれど、コレクションはやめられない。悲しき人間の性です。


そのうちの一枚が、こちらのアントニオ・デ・ペレダ作《静物:虚栄(ヴァニタス)》。 tony_0006.jpg


砂時計、骸骨、火の消えた蝋燭...。


はぁ〜、どれも見ていて、虚しい気分を増長するものばかり。
この虚しいものを集めた絵は“ヴァニタス画”と呼ばれ、静物画の一ジャンルとして確立するほどに。
皆、よっぽど虚しさを抱えていたのですね。


ちなみに、余談ではありますが、最近、食品サンプル界にもヴァニタス画な傾向が生まれています。
先ほどご紹介した食品模型 すがもり工房で、今、人気No.1の食品サンプルがこちら。

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“倒れたパフェ(4800円)”。
一度倒れたパフェは二度と戻らない。
はぁ〜、現代のヴァニタスです。
いつの時代も人は、同じような‘ため息’をつくのですね。



「‘ため息’をつくと、幸せが逃げる」
というのは、過去の話。
今では、‘ため息’にはストレス解消の効果があることが医学的にわかっています。
さぁ、皆さんも、“静物画の秘密展”の一級品の静物画の前で、思いっきり‘ため息’をついて、日頃のストレスを解消してみては??


[とに〜プロフィール]

本名 大山敦士。
元々は吉本興業で、コンビとして芸人をやっていたのだが、ふと抱いた"美術館には、なぜ、笑いがないのか?"という疑問に、 "じゃあ、自分が美術館で笑いを取ろう!"と思い至る。
それを機に、吉本興業を辞め、アートテラーとして活動することに。
「ルノワールは【アキバ系】だ!」や「ムンクと【新世紀エヴァンゲリオン】のシンクロ率は100%だ!」など、独自の視点から、笑いを交えて、美術を解説。
美術に興味を持てない人はもちろん、美術好きな人にも新たな発見を与えるアートテリングを繰り広げる。
最近、ある世界的な若手アーティストに「とに〜は、魔法使いだね」と言われ、見事に天狗になっている。
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